スペックを読み間違えて検証していた部分があったため記事を修正しました。
最終的にシンVPSではなくXserver VPS を契約しましたので、最後にsysbench結果を書いておきます。
シン・ゴジラ、シン・ウルトラマン、シン・仮面ライダー、シン・エヴァンゲリオンとシンってなんだよ?と思っているところに、 Xserverが シン・VPSなるサービスを始めたようです。
検討のきっかけ
最近1CPU性能の高いレンタルサーバーを探していた事もあり、本当に性能が高いなら候補になりそうだと思い調べてみました。
ご注意
検討中で実際に契約したわけではなく、公式が発表しているベンチマークスコアをよく知る環境と比較してみただけです。この記事はシンVPSを実際に利用したレビューではありません。
sysbenchとはなんだろう?
シン・VPSのサイトで、私が一番心を惹かれた文句が次の一文です。
CPU処理性能においても、他社VPSサービスの約4.2倍
ただ、性能測定に使ってるベンチマークソフトウェアがsysbenchというもので、私は初めて知ったツールだったため、比較対象が分からず性能がいいのか悪いのかわかりません。
cpu性能が3514ptsという記述がありますが、ページ一番下の小さい字を見ていきますと「サーバースペックが2GBメモリのプランを調査」とありCPU3コア、メモリ2ギガ環境での性能でした。
sysbenchで検索して、いろいろなサイトをあたってみましたが、古い実行結果しかなく、 どこにもptsという単位がないのです。ptsが何の単位かもわからない。
わからないと比較しようがない。
これは百聞は一見に如かず、試してみるしかありません。
awsの無料枠で使われる t3.micro環境、ローカルPCとの比較してみました。
比較するためsysbenchを試す
インストール
$ curl -s https://packagecloud.io/install/repositories/akopytov/sysbench/script.rpm.sh | sudo bash $ sudo yum -y install sysbench
実行
--num-threadsで使うcpuの数を指定する、指定しなけば1コアなので1コア性能を見たければ2を1にするか、オプション自体を外すかどちらかです。
$ sysbench --test=cpu run --num-threads=2
結果
AWS t3.microでのCPUベンチマーク実行結果
$ sysbench --test=cpu run --num-threads=2 WARNING: the --test option is deprecated. You can pass a script name or path on the command line without any options. WARNING: --num-threads is deprecated, use --threads instead sysbench 1.0.20 (using bundled LuaJIT 2.1.0-beta2) Running the test with following options: Number of threads: 2 Initializing random number generator from current time Prime numbers limit: 10000 Initializing worker threads... Threads started! CPU speed: events per second: 1545.60 General statistics: total time: 10.0002s total number of events: 15459 Latency (ms): min: 0.97 avg: 1.29 max: 16.24 95th percentile: 1.67 sum: 19988.47 Threads fairness: events (avg/stddev): 7729.5000/17.50 execution time (avg/stddev): 9.9942/0.00
※CPUクレジットは満ち満ちた状態で検証しています。
CPU speedのところがどうやら性能の値だと思われます。
openbenchmarking.orgというサイトでeps(events per second)で評価しており、sysbenchはデータベースの性能を調べられるツールでもあるらしく、ptsは(Transactions Per Second)っぽいのです。TransactionPerSecondだとtpsなんですが、おそらくこの値っぽいので、突き詰めて調べるまではしていません。
pts=eps なのか?
そうであると仮定して比較していきます。
AWSのt3.microインスタンスの場合は
2コア1545.60eps
1コア825.04eps
ということなので、 シンVPSは3コアで
3コア3514pts
1コア1117ptsぐらい
なので、シン・VPSは30%ぐらい性能が上という事になります。
シンではない方のXseverVPSが3コアで4212とサイトに書いてあり、1コア換算だと1404なのでXserverVPSの方が良いことになります。
では手元にあるわりと最近のPCで検証してみます。
Hyper-V上で、Core i5-12400の1コアだけ与えたLinux環境
1コア性能
$ sysbench --test=cpu run WARNING: the --test option is deprecated. You can pass a script name or path on the command line without any options. sysbench 1.0.20 (using bundled LuaJIT 2.1.0-beta2) Running the test with following options: Number of threads: 1 Initializing random number generator from current time Prime numbers limit: 10000 Initializing worker threads... Threads started! CPU speed: events per second: 3715.91 General statistics: total time: 10.0003s total number of events: 37164 Latency (ms): min: 0.26 avg: 0.27 max: 7.50 95th percentile: 0.29 sum: 9989.61 Threads fairness: events (avg/stddev): 37164.0000/0.00 execution time (avg/stddev): 9.9896/0.00
結果は3715.91でした。たった1コアでシン・VPSの3コア 3514以上の性能が出ています。
他の人のベンチマーク結果との比較
openbenchmarking.orgを見に行ってみますと、epsの参考値を見ることができます。
先ほどのCore i5-12400のLinux環境で使えるコアを6個全部にしてベンチマークをとってみます。
結果は
events per second: 15291.37
でした
Core i5-12400の結果は載っていませんが、同じ6コアCPUで世代の近いIntel Core i5-10600Kの結果が15844でしたので、結果が同じぐらいのなので同じベンチマーク評価をしていると考えてもよさそうです。
pts=epsとして比較した場合、シン・VPSの数値3514とスコアが近いCPUのパソコンは
Intel Core i5-7200U
ということです。
Core i5-7200UはギリギリWindows11になれない2コア4スレッドのCPUで、ノートパソコンに搭載されている事が多いです。
ThinkpadでいうとX270とか、X1Carbon(2017年)、Let's noteだとCF-XZ6 など2023年時点でまだまだ現役なPCです。
X270 |
最新のPCではありませんが、普通に使えるレベルの性能を持ったCPUをインターネット上でIPアドレスのあるVPSサーバーとして借りれると考えた場合、月額1,530円(キャンペーン中は1,223円)で借りれるのは割とコストパフォーマンスが良いのかな?と感じます。
今回比較対象にしたawsのt3.microも性能は大したことはないのですが、シン・VPSの宣伝文句の他社と比べて4.2倍はちょっと大げさかな?と思います。
結局わからない
公式のWebページが示す性能値が比較対象がなくてよくわからないのが問題だと思います。
シンVPSのサポート(Xserverのサポートでもあります)へ、XserverVPSとシンVPSどちらが性能が良いのか質問を投げたところ、このような回答をもらいました。
シンVPSはXserverVPSと比較し性能はやや劣りますが その分ご利用料金がお安くなっております。
シンVPSはXserverVPSの廉価版という位置づけのようです。この回答を決定打としてXserverVPSを採用し、契約して実際にsysbenchしてみました。
シンVPSはXserverVPSと比較してディスク量が多いので、CPUよりディスク量を重要視する場合はありだと感じます。
XserverVPS メモリ4Gプラン(cpu4コア、ストレージ100G)のsysbench結果
CPU4コア
$ sysbench --test=cpu run --num-threads=4
CPU speed:
events per second: 13844.88
CPU1コア
$ sysbench
--test=cpu run --num-threads=1
CPU speed:
events per second: 3485.64
あら?
Core i5-12400といい勝負じゃないですか、一応1CPU性能が高いVPSを契約したかったので、私の目的は達成できています。
公式サイトのベンチマーク数値ptsは結局よくわからないまま😅
これもサポートに確認すればよかったな。
机上の予想よりも大幅に性能が良すぎて検討した時間が無意味。
ということは、シンVPSも予想より性能は良いのかもしれません、誰かベンチしてください。
ディスク量が欲しい場合は、シンVPS
CPU性能が欲しい場合は、XserverVPS
といったところでしょうか。
ちなみにGMOのちょっと古いVPSはt3.microレベルの性能でした。