うちのPi5 |
いつも通りintelのCPUと比較して、どの程度の性能かの目安を調べます。
搭載CPU Broadcom製のBCM2712のスペック
Raspberry Pi5のCPU※1は、Broadcom製のBCM2712、Cortex-A76の4コア、2.4GHzです。
Pi4と比べるとCPUのクロックは1.5GHzから2.4Hzへアップしており、単純にクロックを比較するだけでもかなり高速化しています。
日本では円安のために、Pi4発売当時と比べて割高な印象ですが、ドル表記では5ドルしか高くなっていません。
※1色々な機能の集合チップのため正確にはCPUというより、AMDが使用していたAPUという呼び方のが方が正しいと思います。
ベンチマークテスト環境
- Raspberry Pi5 8Gモデル
- CPUオーバークロック等なし、ヒートシンクに扇風機の風。
- USBによるSSD起動
- KSY製5V-3Aアダプター
ベンチマークソフトウェア
- geekbench6
- sysbench
今回Antutu v10はPi5ではテスト不可能だったため、Android上ではGeekBenchの結果のみです。sysbenchはraspbian上で計測しました。
geekbench6
Raspberry Pi5のベンチマーク結果は、シングルコア性能 742 マルチコア性能 1517 でした。
クリックで大きくなります |
こちらでマルチコア性能が近い性能のintelプロセッサを探します。
https://browser.geekbench.com/processor-benchmarks
インテル Core i5-5200U(2.2Ghz)が1499で近く、インテル Core i5-5300U(2.3Ghz)が1574ということで、ノートパソコン用5世代 Core i5あたりの性能と言えます。
Core i5-5300Uというと、2023/4/03現在でも中古品として普通に流通しているレベルの性能です。
性能はRaspberryPi5相当のノートパソコン? |
私の風呂タブレットも Core i5 5300Uなので同レベルですが、一般的なPC作業で不満はないスペックです。
デスクトップ用CPUでは、インテル Core i5-2300が1492と少し低く、インテル Core i5-2320が1544ということで、デスクトップ用2世代 Core i5あたりの性能と言えます。
Core i5-2320 3.0 GHz クアッドコア、さすがに搭載PCはもう売ってない |
2世代Coreシリーズと言えば製品開発コード名(Sandy Bridge)のCPUです。
つまりデスクトップ用プロセッサでの比較では、SandyおじさんPCのレベルに到達しています。
SandyおじさんPCとは、軽いPC作業で問題なく使用できるレベルの性能の代名詞でもあるため、Raspberry Pi5の性能はデスクトップPCとして実用レベルになったと判断してもよさそうです。
BCM2712はSandyおじさんPC相当の性能のCPUなんですが、そのように説明してしまうとショボいと思われてしまいそうです😅
しかし
Raspberry Pi4のベンチマーク結果は シングルコア性能285 マルチコア性能657で、AtomやCeleronレベルだったことを考えると、たいへん大きな進化です。
それから電力消費が大人と子供ぐらい違います。
今後「ラズパイ5で十分おじさん」が生まれるかもしれません。
Celeron N5105との性能比較
ちなみにこちらの記事で紹介した、私が普段仕事に使用しているCeleron N5105のミニPCのGeekBench結果はこのようなスコアで、あきらかにRaspberry Pi5よりショボい・・。
Windows11上でGeekBench6で計測 |
このPCはメモリは16GByte搭載しているので、Pi5よりはメモリに対する余裕がありますが、こんなPCでDockerDesktop動かしてブラウザでタブ開きまくって、VSCodeをバリバリ使えているので、Pi5で私の仕事はできそうです。
コスパ最強CPU N100の性能は?
ちなみに今大人気のCPU intel N100のGeekBench結果は、シングルコア性能1200、マルチコア性能3000ぐらいのようです。ただし環境によって数値がばらけており良い方の数値を引っ張ってきました。数値だけ見ればRaspberry Pi5に対し1.8~2倍程度の性能であると読み取れますが、ちょっと良すぎる気もします。
N100は私の手元にないため、誰かの測定結果を見るしかありませんが、ライバルまたは格上となり、N100はコスパに優れた良いCPUなのではないかと感じます。
Beelink EQ12 N100 Mini PC 16G |
もう1つベンチマークをしてみましょう
sysbench
Linuxサーバーの性能評価に便利なsysbenchのCPU測定で比較しました。
Raspberry Pi5 1コア性能
user@raspberrypi:~ $ sysbench --test=cpu run --num-threads=1 WARNING: the --test option is deprecated. You can pass a script name or path on the command line without any options. sysbench 1.0.20 (using system LuaJIT 2.1.0-beta3) Running the test with following options: Number of threads: 1 Initializing random number generator from current time Prime numbers limit: 10000 Initializing worker threads... Threads started! CPU speed: events per second: 2727.08 General statistics: total time: 10.0000s total number of events: 27274 Latency (ms): min: 0.36 avg: 0.37 max: 0.63 95th percentile: 0.37 sum: 9995.41 Threads fairness: events (avg/stddev): 27274.0000/0.00 execution time (avg/stddev): 9.9954/0.00
Raspberry Pi5 4コア性能
10925
user@raspberrypi:~ $ sysbench --test=cpu run --num-threads=4 WARNING: the --test option is deprecated. You can pass a script name or path on the command line without any options. WARNING: --num-threads is deprecated, use --threads instead sysbench 1.0.20 (using system LuaJIT 2.1.0-beta3) Running the test with following options: Number of threads: 4 Initializing random number generator from current time Prime numbers limit: 10000 Initializing worker threads... Threads started! CPU speed: events per second: 10925.32 General statistics: total time: 10.0003s total number of events: 109269 Latency (ms): min: 0.36 avg: 0.37 max: 1.40 95th percentile: 0.37 sum: 39978.69 Threads fairness: events (avg/stddev): 27317.2500/5.17 execution time (avg/stddev): 9.9947/0.00
sysbenchでも同じような比較をしてみます。
sysbench参考値はこちらのサイトより引用
https://openbenchmarking.org/test/pts/sysbench&eval=4b8c78bdfba16039c28b27b205e749382422dea7
近い数値のintel CPU
インテル Core i7-5930K が10671で近いです、このCPUは6コア12スレッドという今でも戦えそうなコア数なので、え?これがRaspberry Pi5と同レベルなの?と疑いたくなります。
Intel Core i7 5930K 3.50GHz |
疑問解消のため、同じ6コアのRyzen5 3600を自分で測定
私が趣味で使っているPCはRyzen5 3600(6コア12スレッド)で、コア数などがCore i7-5930Kと一致します。WSLからsysbenchを入れて計測してみますと近い値が出ました。
11280.92
user1@MAINPC:~$ sysbench --test=cpu run --num-threads=12 WARNING: the --test option is deprecated. You can pass a script name or path on the command line without any options. WARNING: --num-threads is deprecated, use --threads instead sysbench 1.0.18 (using system LuaJIT 2.1.0-beta3) Running the test with following options: Number of threads: 12 Initializing random number generator from current time Prime numbers limit: 10000 Initializing worker threads... Threads started! CPU speed: events per second: 11280.92 General statistics: total time: 10.0010s total number of events: 112837 Latency (ms): min: 0.55 avg: 1.06 max: 20.07 95th percentile: 1.08 sum: 119859.26 Threads fairness: events (avg/stddev): 9403.0833/38.99 execution time (avg/stddev): 9.9883/0.00
似たような数値が出ます、ベンチマーク値参考サイトの数値は正しいようです。
格下Celeron N5105のsysbench結果は?
手元にあるCeleron
N5105では、 1コア性能 1586 4コア性能 5800でした。1.9倍程度Rasberry Pi5の方が優れているようです。
この結果には疑問はありません。
N100は?
intel N100のsysbench結果をopenmediavaultのフォーラムで見つけました。
https://forum.openmediavault.org/index.php?thread/51416-bkhd-1264-nas-intel-n100-mini-itx/
引用しますと4コア性能で、
CPU speed:
events per second: 11378.44
ということで、 N100の方が優れてはいますが、差は453程度でgeekbenchほど差がついていないようです。
ほぼライバル。
まとめ
私の体感ではGeekBenchの結果が、正しい評価ができている気がします。
sysbenchのcpuベンチマークは素数を使った割とシンプルな計算で行っているため、CPUの一部機能しか使用していないようです。
N100やPi5がRyzen5 3600やCorei7 5930kと同レベルという結果は良すぎるように感じます。
ということで、GeekBenchの結果から
Raspberry Pi5のCPU、BCM2712(Cortex-A76/4コア)は
ノートパソコン用5世代 Core i5(Broadwell)相当
デスクトップ用2世代Core i5(Sandy-Bridge)相当
の性能だと私は結論付けました。
ラズパイ5は、Sandy Bridge世代のi5ぐらいの性能だといえば、伝わりやすくわかりやすいと思います。
おまけ
Pi5とPi4にAndroidを入れてゲーム(takt op)を動作させた結果です。
Pi4の動作、Pi5の動作の順に検証しています。
Pi4ではCPU、GPUのオーバークロックしてもクッソ重かったのですが、Pi5だと割とまともな速度で動いてゲームプレイできています。
Pi4もサービス開始時はかろうじてプレイできていましたが、今のバージョンは戦闘で落ちます。
4:28からがPi5の動作です。
単なるベンチマーク数値だけでなく、通常のアプリやゲームを使ってみるのが分かりやすいです。
ゲームを動かした体感としてPi4の2倍の性能というのは納得できます。
takt opはもうすぐ(2024/4上旬)サービス終了するゲームです。クラシック音楽といえば作曲家のおっさんの顔しか浮かばなく、堅苦しいとか古典というようなイメージしか持てなかったのですが、イラストレーターLAMさんの魅力的なキャラクターが目に浮かぶ様になり、妄想する事でピアノ練習が捗ります。
もっとサービスが続いて、色々なクラシック音楽がキャラクター化してほしかったなぁ。